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三味線の駒の選び方|高さ・材質・用途を確認する

三味線の駒は、使う楽器と演奏の用途を確かめてから、高さ、形、材質、重さを選びます。今の駒を補充するなら品名や指定を調べ、初めて選ぶなら楽器の型名と習うジャンルを先生や店へ伝えましょう。「初心者なら何ミリ」と一つの高さに決めることはできません。

同じ竹駒でも、糸が乗る部分に別の材料を使う製品があります。地唄用には重りを入れた駒もあります。商品名の素材だけで選ばず、どの部分に何を使い、どの楽器で使うものかを読み取ることが、最初の一枚を選ぶ助けになります。

駒は糸を支えながら振動を伝える

駒は、胴の皮と糸の間に置く部品です。三本の糸を支えるとともに、糸の振動を胴へ伝えます。見た目は小さくても、糸と皮のつながりに関わっているので、同じ名前ならどの三味線でも交換できる部品とは考えない方がよいでしょう。

ここで選ぶのは皮の上に置く駒です。天神の根元付近にある上駒とは場所が違います。店に写真を送るときも、皮の上の駒を探していることが分かるようにすると、部品の取り違えを防げます。置く位置や出し入れの手順は、手元の楽器に合う扱い方を別に確認します。

初めて買うときは楽器の型名と用途から始める

メーカーの型名がある楽器では、まず指定の駒を探します。たとえば鈴木楽器製作所は、8mm駒を「かえで・あおい・ききょう津軽 太棹用」、10mm駒を「ききょう細棹・中棹用」と案内しています。どちらも合成樹脂製ですが、対象となる楽器が違います。

同社の「かえでMS-8」は細棹と表示され、付属する駒は8mmです。一方、同じ会社のききょう細棹用には10mm駒が指定されています。この例だけでも、細棹という分類名から高さを一つに決められないことが分かります。型名まで照合する理由はここにあります。

型名のない楽器なら、習う音楽と流派、購入時の説明、今の駒を手がかりにします。「津軽用です」だけでなく、「先生に選んでもらった今の駒と同じものを補充したい」のか、「違う音を試したい」のかも伝えましょう。補充と変更では、候補を絞る出発点が異なります。

高さは楽器に合わせて確認する

駒の高さは、糸を支える位置に関わります。長唄奏者の松永鉄九郎さんは、駒の位置や高さによって勘所が多少変わると説明しています。勘所は棹の上で糸を押さえる位置です。高さの違う駒に替えることは、材料だけを取り替えるのとは違う変更になります。

商品には、ミリメートルのほか「分」「厘」で高さを示すものがあります。菊岡中むらの地唄用プラスチック駒は、3分3厘の高さとして案内されています。これはその商品の表示であり、地唄のすべての駒を3分3厘にする決まりではありません。

手元の駒の高さが分からない場合は、袋や購入履歴を先に確かめます。実物を測る必要があれば、販売店に測定する場所を確認しましょう。欠けた駒の残りや、写真上の大きさから新しい駒の高さを決めるのは避けます。高い方が音がよい、低い方が初心者向けという選び方もしません。

高さと幅と足の長さは別の寸法

竹駒の商品名には、「幅」と「足の長さ」が高さと並んでいることがあります。菊岡中むらの半象牙の竹駒te182は、本文で2分幅、長足と説明され、足の横の長さは約7.3cmと記されています。2分と7.3cmは、違う箇所についての情報です。

「長足」を高さの高い駒という意味に読み替えないようにします。同様に、「2分幅」を高さの欄へ書き写してはいけません。自分で比較用のメモを作るときは、高さ、幅、足の横の長さを別々に記し、測定位置が分からない欄は店への質問にします。

糸が乗る溝も確認が必要です。菊岡中むらには、注文時に糸道の有無を選ぶ商品があります。形と材質が合っていても、届いた時点の溝の状態が同じとは限りません。自分の糸に合う仕上がりで受け取れるかを、購入前に確かめましょう。

素材名は糸が乗る部分まで読む

竹駒という名前でも、全体が竹だけでできているとは限りません。東京藝術大学の津軽三味線の図鑑は、竹の駒のうち、糸が乗る部分に象牙や鼈甲を使う例を紹介しています。材料の名前は、土台の部分と糸を受ける部分に分けて読むと分かりやすくなります。

先ほどのte182は、竹駒の上半分に象牙を張った「半象牙」という製品です。「竹駒」と「半象牙」は別々の候補の名前ではなく、その一枚の構成を続けて説明しています。別の商品に入鼈甲や半水牛などの表示があれば、同じように使われている部分を確かめます。

舎利(しゃり)という呼び名もあります。和楽器市場の地唄用舎利駒は、牛骨材を使った商品として説明されています。古い駒や別の店の商品まで材質を推測せず、その品物に牛骨などの材料表示があるかを見ます。白い見た目だけで、舎利、象牙、合成樹脂を決めないようにしましょう。

動物由来の素材を避けたい場合も、駒全体の構成を確かめる必要があります。「竹」と書いてあることだけでは希望に合うか分かりません。土台と糸が乗る部分の双方について、メーカーや製作者の材料説明を聞きましょう。

地唄用は重りの有無も見る

駒の重さは、材料だけでなく内部のつくりにも関わります。菊岡中むらの地唄用水牛駒sg033は、裏側に鉛を埋め込んだ製品として説明されています。同店の地唄用プラスチック駒にも重りが入っています。水牛かプラスチックかという比較だけでは、この構造の情報が抜けてしまいます。

一方、和楽器市場の地唄用舎利駒は、牛骨材を重ねて仕上げ、鉛などの重りを入れない商品です。同店は材料だけの重さなので一枚ずつ違いがあり、4.2g前後と案内しています。この数値は商品の説明値で、地唄用の推奨重量ではありません。

重さを比べる場合は、駒全体の重量か、入っている重りの情報かを確かめます。表示が「重り入り」だけなら、それを一定のグラム数に置き換えないでください。重いほどよい、天然素材ほど重いと先に決めず、今使っている駒との違いを先生や製作者に確認します。

小唄や義太夫の用途も省略しない

小唄には、つま弾き用と明記された駒があります。菊岡中むらの紅木製kk030は、4分高のつま弾き用として掲載されています。このような用途の表示を省いて「紅木の駒」とだけ覚えると、演奏方法との関係が分からなくなります。

義太夫節の三味線では、駒が振動でせり出さないように駒どめを使うと、日本芸術文化振興会が説明しています。同じ太棹という分類でも、津軽の竹駒の説明をそのまま当てはめられるわけではありません。駒を選ぶときには、使う音楽と留め方も確認します。

同会の文楽の催しの記録には、演奏途中で調子が変わる演目で、重さの違う駒へ替えるという奏者の説明もあります。これは文楽での実演の例です。初心者が最初から何枚もそろえるための一覧ではなく、演奏の目的に応じて選ぶ道具であることを示しています。

同じ駒を補充するための確認

まず、今の駒の袋、品番、購入先の記録を探します。高さだけでなく、材質、足の形、糸が乗る部分の材料、重りや糸道の説明も合わせて控えます。記録がない場合は、全体と側面が分かる写真を用意し、楽器の用途と一緒に相談します。

次に、同じ品名でも選択肢がないかを見ます。高さや足の形を選ぶ商品なら、前回の指定と照合します。一点物を買い直す場合は、同じ写真の商品が残っているとは限りません。材質名だけで同等品と決めず、代わりの候補が今の楽器に合うかを確認しましょう。

注文する前には、糸道の仕上げ、必要な調整、返品や交換の条件まで確かめます。溝を自分で削ることを前提に、形が近い駒を選ぶ必要はありません。普段の駒を預ける場合は、練習用の代わりが必要かも相談しておくと予定を立てられます。

違う駒を試すときは変える条件を絞る

別の駒を試すなら、今の状態と変えたい点を先に言葉にします。「一音を出した後の響きを比べたい」「先生から別の高さを試すように言われた」など、目的を一つに絞る方法があります。楽器に合う候補を用意してもらい、現在の駒を比較の基準として残します。

同じ楽器、糸、調弦、奏者、短いフレーズで比べ、変えた駒の品名を記録します。高さも重さも形も違うなら、材質だけを比べたことにはなりません。出だし、余韻、押さえた感触について気づいたことを控えれば、好き嫌いの理由を次の相談に使えます。

最初は、自分の楽器で使える一枚を確実にそろえるところから始めましょう。用途と仕様を確認した駒を使い、その後に比較する理由ができたら候補を増やします。取り付けに無理がある、糸が溝に収まらないときは、押し込んで試奏せず、適合と仕上げを確認してもらってください。

参考資料

対象製品の仕様はスズキの8mm駒、10mm駒、かえでMS-8、複合素材の例は東京藝術大学の津軽三味線図鑑で確認できます。製品例は菊岡中むらの地唄用プラスチック駒、津軽用竹駒te182、地唄用水牛駒sg033、小唄用紅木駒kk030と、和楽器市場の地唄用舎利駒を参照しました。

高さと勘所の関係は松永鉄九郎さんの三味線のしおり、義太夫の扱いは日本芸術文化振興会の文楽教材と奏者の解説を収録した催しの記録を参照しました。商品情報の確認日は2026年10月3日です。