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現代作品で使われる三味線|作曲・他楽器との組み合わせ

三味線は、作曲家が書く独奏曲にも、ほかの楽器と組む協奏曲にも使われています。現代作品を知る入口では、曲名に加えて「三味線を何と組み合わせた曲か」を見ると、伝統曲以外での役割が具体的になります。

ここでは、西村朗、池辺晋一郎、一柳慧の三作品を、出版社の正式な作品情報から紹介します。三味線一人の独奏、音響機器を伴う作品、ヴァイオリンと並ぶ協奏曲という、異なる組み合わせです。

現代作品を一つの弾き方でくくらない

「現代作品」は、三味線の種類や一つの奏法の名前ではありません。ここで取り上げるのは、20世紀後半以降に作曲され、作曲者と編成が作品ごとに示されている曲です。現代に演奏されているというだけで、古くからの伝承曲をこの範囲へまとめているわけではありません。

また、新しい作品であることと、電気で音を出す楽器であることも別です。作品情報に機器の指定がある曲もあれば、独奏楽器として三味線だけを挙げる曲もあります。速く弾く、大きな音を出す、エフェクトを使うといった一つの特徴だけで、現代性や作品の価値を決める必要はありません。

西村朗の時の蜜は三絃だけの独奏曲

西村朗の「時の蜜」は、1990年の独奏三絃のための作品です。全音楽譜出版社の作品目録は、演奏時間を12分とし、西潟昭子の委嘱で、同年に東京で西潟が初演したと記しています。三絃は、ここでは三味線を指します。

この編成には歌や別の伴奏楽器が挙げられていません。唄を支える役割から離れ、三味線一人が一つの作品を演奏する例として捉えられます。独奏であることは、短い練習曲であることや、編成の多い曲より簡単であることを意味しません。

目録には録音番号としてVICTORのVZCG-164も載っています。作品を探すときは、作曲者、曲名、演奏者をそろえ、このような書誌情報を手掛かりにできます。ただし、目録だけでは楽譜の記号や各部分の弾き方は分かりません。音色の変化や曲の展開については、正規の音源や楽譜で改めて確かめる範囲です。

池辺晋一郎のはじめのうたは機器も作品条件に含む

池辺晋一郎の「はじめのうた」は、1980年の三絃のための作品です。作品目録には「エコー・マシンを伴う」と明記されています。演奏時間は11分で、1980年に東京で西潟昭子が初演した記録があります。

三味線を舞台で大きく聞かせるために、その都度マイクを使う場合と、作品の編成に音響機器が書かれている場合は区別できます。この曲では、機器の存在も作品を調べるときの条件です。独奏曲という分類を見て、楽器一丁だけ用意すれば演奏できると決めないようにしましょう。

一方、目録にあるのは機器を伴うという指定までです。エコーの時間や回数、接続する端子、現在の機器でどう再現するかは、掲載項目からは判断できません。演奏するなら、楽譜や演奏上の指示を入手して確かめます。市販のエフェクターを任意の設定にすれば同じ作品になる、という説明にはできません。

一柳慧の二重協奏曲は二人の独奏者を置く

一柳慧の「ヴァイオリンと三味線のための二重協奏曲」は、2021年の作品です。独奏のヴァイオリンと三味線に、弦楽器群と打楽器が加わります。出版社の編成欄には打楽器奏者4人が示され、演奏時間は18分です。

初演は2022年10月25日、東京のサントリーホールでした。ヴァイオリンは成田達輝、三味線は本條秀慈郎、管弦楽は読売日本交響楽団、指揮はシルヴァン・カンブルランです。作曲年と初演年が異なるため、2021年という数字だけを公演の日付にしないようにします。

「二重」は、ヴァイオリンと三味線という二つの独奏楽器を持つことに対応します。二人だけの二重奏ではありません。弦楽器群と打楽器を含む編成を見ると、二つの独奏楽器と全体の関わりを聴く作品だと分かります。三味線が歌の伴奏を担当する場面とは、演奏上の位置づけが違います。

日本語の作品情報では、演奏用楽譜はレンタルと案内されています。海外版の出版社情報にはLSJ 4709-01という番号もあり、同じ作品を特定する手掛かりになります。販売用の楽譜を検索して見つからない場合も、作品そのものが存在しないと判断する前に、レンタルの案内を確かめられます。

編成を知ってから音へ耳を向ける

三作品を並べると、三味線だけで成り立つ作品、三味線と機器を組む作品、別の独奏楽器や大きな集団と組む作品があります。こうした違いは、古典より新しい方が優れている、人数が多い方が豊かだという順位を付けるためのものではありません。何に耳を向けるかを選ぶ入口です。

鑑賞するときは、独奏の音が続く箇所と、ほかの音が加わる箇所をまず聞いてみましょう。二重協奏曲なら、ヴァイオリンと三味線のどちらに注目していたかを変えて聴く方法もあります。聴いた後に気になった箇所を戻って確かめると、一度目とは違う楽器の動きに注目できます。

作品名が「三絃」と「三味線」、日本語と外国語で違って見える場合も、作曲者、年、編成、出版社の番号を合わせて探すと、取り違えを減らせます。録音の収録曲名が短くなっている場合は、アルバム名だけでなく曲ごとの情報を見ます。

演奏する版と編曲の許可を確認する

演奏を考える場合は、まず正規の楽譜と、その版で必要な人数や機材を確認します。作品目録の演奏時間は、会場で準備や調弦をする時間を含む公演全体の長さではありません。楽器交換や機器の準備が必要なら、別に見込んで進行を組みます。

人数を減らす、別の楽器へ置き換える、旋律を変えるといった扱いは、単なる持ち物の変更では済まない場合があります。JASRACは、曲の編成や旋律を変える利用について、音楽出版者などの権利者へ事前に確認するよう案内しています。楽譜を入手したことだけで、自由な編曲まで許されたとは考えないでください。

三味線を含む現代作品は、楽器の名前だけでなく、作曲家が選んだ相手と条件を知ると探しやすくなります。まず一作品の書誌と編成を確かめ、その作品に合う音源や楽譜へ進んでみましょう。

参考資料

「時の蜜」は全音 西村朗作品目録2023の冊子47頁、「はじめのうた」は全音 池辺晋一郎作品目録2025の冊子41頁を参照しました。

二重協奏曲の書誌はショット ミュージックの日本語作品情報とSchott Musicの作品ページ、編曲はJASRACの改変を伴う利用の案内で確認しました。資料確認日は2026年10月3日です。