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チューナーで三味線を合わせる|音名・オクターブ・拾い方

チューナーで三味線を合わせるときは、まず目標の音名、次にオクターブ、最後にメーターのずれを確認します。針が中央に来たというだけでは、課題の音に合ったとは限りません。違う音名や、違う高さの同名の音でも、中央を示すことがあるためです。

ここでは、三本の目標音が分かっている状態から、表示をどう読むかを説明します。糸巻きの支え方や回し方は、手元の三味線で確認済みの方法を使ってください。表示が分からないまま糸巻きを回し続けず、何を測っているかを先に確かめます。

使うモードと三本の目標音を先に確かめる

最初に、チューナーの型名と、今選ばれているモードを見ます。半音ごとの音名を扱うクロマチック式と、特定の楽器の弦に合わせるモードでは、表示の読み方が変わります。ギター用の一弦という表示を、三味線の一の糸と読み替えることはできません。

たとえばBOSSのTU-02には、クロマチック、ギター、ベース、ウクレレの四つのモードがあります。三味線の目標音を音名で確認する場合は、その機器のクロマチック・モードを使う説明を確認します。機種ごとの切り替え方や記号は、付属の説明書に合わせてください。

三味線用のKORG WT-30Sには、本調子、二上り、三下り、クロマチックの設定があります。専用モードを使うなら、調子に加えて本数も確認します。三味線用と書かれた機器でも、自分の課題の調弦が自動で選ばれているとは限りません。

目標は一、二、三の順に控えます。たとえば、課題から四本の二上りで一の糸をC3と指定されているなら、C3・G3・C4という組み合わせです。この例は全員に同じ高さを勧めるものではありません。本数の体系と実音域が違う教材へは、そのまま移さないでください。

440Hzは一の糸の目標とは限らない

画面に440や442などの数値が出ていたら、まず説明書で、その数字が何を表す欄なのかを確かめましょう。基準ピッチの設定値と、今鳴った音の測定値は別です。数字が表示されているだけで、三本の糸をその周波数へ合わせるわけではありません。

KORG CA-2では、キャリブレーションの欄でA4の基準ピッチを設定します。A4=440Hzという設定は、ほかの音の目盛りを決める基準です。一の糸をCにするかDにするかという、三味線の基音の指定とは区別してください。

合奏や教材に基準ピッチの指定があれば、それに合わせます。指定が分からない場合は、別の楽器や録音と合わない原因を糸巻きだけに求めず、双方の設定を確認します。すべての場面で440Hzに戻せば解決する、というものではありません。

前回の設定を記憶する機器もあります。CA-2の取扱説明書では、基準ピッチの設定を電源を切っても保持し、電池交換で初期化すると説明されています。機器を借りた日や設定を変えた後は、音を出す前に現在の値を見ておくと、前回との取り違えを防げます。

音名と細かいずれを別々に読む

クロマチック式の表示では、入力された音に近い音名が現れます。Cを目標にしているのにBが表示されていれば、Bのところで針が中央になっても、目標のCへ合ったことにはなりません。大きな文字の音名を先に読む理由はここにあります。

目標の音名と音域が確認できたら、細かいずれをメーターで読みます。CA-2のメーター・モードでは、中央の目印と中央ランプが基準になり、低いと左、高いと右のランプが点灯します。この左右の意味は同機種の説明です。別の機器の色や矢印まで同じだと決めないでください。

次の二つは、表示を読むための仮の例です。実機画面を再現したものではありません。「目標G3、表示G3、メーターが低い側」なら、目標と同じ音名と音域の中で少し低い状態です。「目標G3、表示F♯3、メーター中央」なら、F♯3には合っていてもG3には合っていません。

シャープとフラットも音名の一部として読みます。十二平均律ではA♯とB♭は同じ高さなので、教材がB♭、機器がA♯という表記になることがあります。「B♭なのにAと出た」と判断する前に、文字の隣に♯が付いていないかを確かめましょう。AとA♯は別の音です。

メーターに中央以外の印があっても、すべてが三味線の目標ではありません。CA-2には純正の長三度と短三度を示す補助マークもあります。表示される印の意味が分からなければ、機器の説明書で確かめ、自己流で別の印へ合わせないようにします。

同じCでもオクターブが違えば別の高さになる

本調子と二上りでは、一の糸と三の糸が一オクターブ離れます。例にしたC3・G3・C4では、一の糸と三の糸はどちらもCですが、同じ高さではありません。文字だけをそろえて、一の糸を三の糸と同じ高さまで上げる操作は避けてください。

ここでは、110HzをA2とするKORGの仕様と同じ音域の表記を使っています。A4=440Hzの十二平均律では、そのC3は約130.81Hz、C4は約261.63Hzです。一オクターブ上の音は周波数が二倍になります。数値は表記を確かめるための計算例で、個々の三味線の適正音域や測定結果を示すものではありません。

オクターブ番号が表示される機器では、文字と数字を一組で確認します。番号が見当たらない場合は、音名表示だけでオクターブを判定せず、課題の見本音と比べます。使える発振音の範囲にも注意が必要です。CA-2のサウンド・アウトはC4からC5の範囲なので、この例の一の糸C3と同じ高さのCを、そのまま発音できるわけではありません。

録音や譜面を別のソフトで確認するときは、オクターブの番号の付け方もそろえます。たとえばDoricoでは、中央のCの表示をC3、C4、C5から選べます。同じ実音なのに番号だけが違う場合があるため、表示の数字をそろえるためだけに糸の高さを変えないでください。

音を拾う条件を整えてから表示を確かめる

内蔵マイクで測るときは、見本音やほかの演奏をいったん止め、対象の糸を一本ずつ鳴らします。三本をまとめて鳴らした表示から、どの糸を測っているかを判断しないようにしましょう。CA-2の説明書も、単音を入力し、関係のない音がマイクへ入らないよう案内しています。

表示が出ないときは、まず音の入力経路を見ます。内蔵マイクなのか、外部のマイクなのかを分けて確認してください。CA-2はINPUT端子へプラグを差すと内蔵マイクが使えなくなります。プラグが付いたまま内蔵マイクへ音を出していないか、という確認で切り分けられる場合があります。

内蔵マイクを使う場合は、機器を楽器の近くに置く案内を確認します。ただし、近づけるために楽器の支持を崩したり、機器を皮の上へ置いたりする必要はありません。普段の構えで画面を見られ、音を入力できる位置を先に整えてください。

振動を拾うクリップ式やコンタクト・マイクでは、取り付け位置と接触状態が関わります。RolandはTU-02について、接触部、電池、周囲の大きな振動を確認項目に挙げています。三味線のどこへ挟めるかは機器と楽器の説明に従い、皮や糸へ無理に取り付けないでください。

表示が揺れるときは糸を張る前に原因を分ける

音名が飛ぶ、すぐ消える、音を出していないのに動く場合は、その表示を見て糸巻きを回し続けないようにします。まず対象の糸を鳴らし直し、周囲の音と入力経路を確認します。測っている音が分からなければ、表示から高低の判断はできません。

機器の測定範囲に入る音でも、必ず測れるとは限りません。CA-2の説明書は、倍音を多く含む音や減衰の早い音を測定できない場合があるとしています。音が安定して読めないことを、すぐに三味線の故障や糸の張り不足と決めないでください。

同じ音名でオクターブの数字だけが切り替わる場合も、表示だけでどちらが本当の高さかを断定しません。見本の実音、機器の説明、必要なら別の測定で確かめます。画面の一瞬の変化に合わせて大きく張り直すより、調整を止めて、読み取れる条件へ戻すことを優先します。

反応しないから強く張る、目標が見つからないから一周分の音を順に試す、といった操作は避けてください。糸巻きが固い、戻る、楽器を支えられないという問題は、チューナーの読み方では解決できません。機器の表示と、楽器の操作上の問題を分けて確かめます。

三本を確認した記録には設定も添える

確認を終えたら、一、二、三の目標音と、読み取れた音を分けて控えます。「二上り、C3・G3・C4、基準ピッチA4=440Hz」のように条件を記すと、次回や別の機器でも何を確認したかが分かります。これはその条件を指定された場合の記録例です。

音が合わない相談では、「針が動きません」だけでなく、機種名、モード、基準ピッチ、鳴らした糸、表示された音名を伝えます。オクターブ番号があるならそれも添えます。目標と表示の違いが分かれば、音の指定、設定、入力、糸巻きのどこを確認するかを絞れます。

チューナーを使うときの確認は、目標音と設定をそろえ、一本の音を入力し、音名と音域が一致してから細かなずれを見る、という順序です。表示を読めないまま調整する時間を減らし、読み取れた音に基づいて確認を進めましょう。

参考資料

音名とメーター、基準ピッチ、内蔵マイクの条件はKORG CA-2取扱説明書の日本語部分を参照しました。三味線専用設定の例はWT-30Sの仕様、楽器別モードと入力の確認はBOSS TU-02製品案内とRolandの公式サポートで確認できます。

三調子の音の関係は松永鉄九郎の調弦法、基音を共演に合わせる考え方は洗足学園音楽大学の三味線解説を参照しました。オクターブ番号を変更する例はDoricoの公式ヘルプに掲載されています。