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三味線の糸の選び方|素材・太さ・一二三の組み合わせ

三味線の糸は、何の糸か、素材、太さ、メーカーを組み合わせて選びます。今の糸を補充するなら、使っている商品の袋を確かめるところから始めましょう。初めて選ぶ場合は、習う音楽と楽器の仕様に合う組み合わせを決めます。

「初心者は何号」と一つに決めることはできません。長唄、地唄、津軽などで使う例が異なり、同じジャンルでも指定に幅があります。ここでは袋の表示を読み、三本分の候補を確かめるまでを説明します。

一二三の名前と袋の番号を結び付ける

三本の糸は、太い方から一の糸、二の糸、三の糸と呼びます。買うときには、この区分と商品の号数を続けて読みます。「13」だけでは、二の糸か三の糸かまで伝わりません。

丸三ハシモトの表示で「13-2」は二の糸、「13-3」は三の糸です。前の数字は太さに関わり、元は絹の原糸の重さを表しています。同社の説明では、同じ13匁の原糸から取る本数が、二の糸と三の糸で異なります。前が同じ13でも、同じ太さの糸という意味にはなりません。

号数を直径のミリ数として読むこともできません。同社の説明では、同じ種類の糸は号数が大きいほど太くなります。まず「何の糸か」をそろえ、そのうえで号数を比べると読み違いを防げます。

素材名と商品名を分けて読む

主な素材の表示は、絹、ナイロン、テトロンです。絹は生糸を用いた糸で、ナイロンとテトロンは化学繊維の糸です。三味線の販売ページでは、テトロンをポリエステルと併記する例があります。

和楽器市場の丸三寿のページには、テトロンの表記を順次「ポリエステル」に変える案内があります。古い袋がテトロン、新しい商品欄がポリエステルでも、名称変更に当たる場合があります。買い直す際には、番号に加えて商品系列も照らし合わせましょう。

「寿糸」は丸三ハシモトの商品名で、「極上」「銀付」「金先」は同社の絹糸の区分です。これらをナイロンやテトロンと同じ素材名として並べないようにします。同じ絹でも、前に買った系列まで控えておくと、同じ商品を探しやすくなります。

素材を選ぶ段階で、絹を上級者用、化繊を初心者用と決める必要はありません。実際に三本すべてを絹でそろえたセットも、素材を混ぜたセットも販売されています。最初は稽古で使う組み合わせを選び、別の素材を試すときに、変えたい点を具体的にしていきましょう。

三本すべてを同じ素材にする必要はない

三萃園の細棹用セットを例にすると、絹の組み合わせは一の糸が15-1、二が13-2、三が13-3です。同じ店には、一を絹、二をテトロン、三をナイロンにした同じ番号のセットもあります。三本一組で買う場合でも、各糸の素材は個別に確かめます。

この二つは、番号をそろえたまま素材の組み合わせが違う例です。ただし、数字が同じことから、違う素材でも直径や張ったときの感触まで等しいとは判断できません。「素材だけが違う商品」と「実際に弾いた条件が同じ」は分けて考えましょう。

商品名に長持ちなどの言葉があっても、使える日数を示す数字とは限りません。ここで挙げたセットも、内容を確認するための例です。音の好みや交換までの期間はこの名称から決めず、使用した品名と状況を残して比較します。

ジャンル別の番号は候補を探すために使う

次の番号は、一の糸、二の糸、三の糸の順です。菊岡中むらの富士糸の案内にある目安から、長唄、地唄、小唄の例を取り上げます。同店も、棹の太さや流派、先生によって違いがあると注記しています。

長唄の例

長唄の目安は、15-1、13-2、13-3の絹糸です。二と三の前の数字が同じでも、末尾が違います。先生から「一は15、二と三は13」と聞いたときも、注文用のメモには末尾まで入れ、素材を添えると確実です。

地唄の例

地唄では、14-1、14-2、14-3の絹糸が示されています。三本とも前の数字が14ですが、三本とも同じ商品を買う意味ではありません。一・二・三の各欄がそろっているかを見てから、注文する商品を選びましょう。

小唄の例

小唄は、16-1、14-2、13-3と、17-1、15-2、13-3の二通りが掲載されています。一つのジャンルにも複数の目安がある例です。どちらを選ぶかは、手元の楽器と今の指定に照らし合わせます。太い方を上級者向けと読み替えるものではありません。

民謡や津軽などを含む別の表を調べるときも、出典のメーカーと対象の楽器を一緒に見てください。「中棹用」とだけ書かれたセットを、地唄用の上記の組み合わせと同じ物だと思わず、中身の三本を読み比べます。

津軽は流派とメーカーまで確かめる

津軽三味線でも組み合わせは一つではありません。三萃園の太棹用セットは、25-1の絹、15-2のテトロン、13-3のナイロンです。一方、獅子道の津軽三味線教室の資料は、小山家元の好みとして、一に浄瑠璃糸の中口、二に富士糸の絹15番、三に富士糸のナイロン13番を紹介しています。

教室資料の三の糸には、丸三なら14番という注記もあります。これは、その資料が紹介する選び方です。富士の13番と丸三の14番が、直径や張力まで同一だとする測定資料ではありません。メーカーを替えるときに、番号をそのまま引き継がず確認する具体例として読めます。

一の糸には「中口」「太口」などの呼び名もあります。数字に直したいときは、その商品の説明を確認しましょう。別の商品系列の呼び名を、手元の糸に無条件で当てはめることは避けます。注文では、メーカーと「浄瑠璃糸の中口、一の糸」のような商品名を省略しない方が伝わります。

同じ糸を補充するときの確認手順

まず、今使っている袋、購入履歴、教室から受け取ったメモを集めます。一・二・三のどれを補充するかを決め、メーカー、商品系列、素材、番号を照合します。先生に選んでもらった組み合わせで、使い方を変えていないなら、その品名から探すと候補を絞れます。

次に、一本売りか、同じ糸が複数入った袋か、三本一組のセットかを確認します。和楽器市場の丸三寿の化繊糸は、二の糸が二本入り、三の糸が五本入りとして掲載されています。一方、菊岡中むらの富士糸の二の糸は一本単位で購入できる案内です。袋数だけを比べず、何の糸が何本届くかを確かめましょう。

品名が同じでも、選択欄の番号と素材を最後に見直します。必要な13-3のナイロンと、13-3のテトロンは別の選択です。同じ商品が見つからないときは、近い数字で埋め合わせず、前の品名を示して代わりになる候補を確認します。

袋も指定もないときは楽器から候補を絞る

初めて糸を買う場合は、先に使う楽器のメーカーや型名、習うジャンル、分かれば流派を書き出します。短棹などの説明がある楽器なら、その名称も残します。古い楽器で型名が分からない場合は、全体の写真と、分かる範囲の使用歴を用意しましょう。糸を選ぶために楽器を分解する必要はありません。

続いて、今取り組む曲で指定された調子と基音を控えます。「本調子」などの調子名と、音の高さの指定は分けて伝えます。糸の号数は購入する商品の情報、調子と基音は演奏するときの情報です。号数を知っただけで、どの音まで合わせればよいかが決まるわけではありません。

ここまでそろえば、相談も「何の糸がいいですか」から一歩進みます。たとえば「この長唄用の楽器で初めて稽古します。指定は絹ですが番号は未確認です。三本それぞれの品名と番号を確認したい」と伝えられます。調子や基音がまだ決まっていなければ、その点も未定として残します。

店や先生から候補が出たら、一・二・三を分け、素材と番号まで書きます。教材用など型名のある製品では、メーカー指定の交換糸があるかも確認してください。ジャンル別の目安だけで決めるより、手元の一丁に使う商品を特定しやすくなります。

別の糸を試すときは今の組み合わせを残す

音や弾いた感覚を比べたいときは、今の三本分の品名を残してから、試す候補を決めましょう。最初は変える対象を一つに絞る方法があります。三の糸の素材を比べるのか、同じ系列で号数を比べるのかを決めると、何を試したかを後から説明できます。

試した日、使った楽器、調子と基音、変えた糸、気づいたことを控えます。「こちらの音が好き」「前より押さえた感触が硬く感じた」といった本人の感想で十分です。その結果を、素材全体の優劣や、誰にでも同じ感触になるという結論まで広げる必要はありません。

選び終えたら、三本分の袋を撮り、写真に一・二・三の名前を添えておきましょう。次の買い足しではその記録を使えます。新しい糸を張る手順と音を合わせる操作は、選定とは別に確認してから進めてください。

参考資料

番号の意味と製品の区分は丸三ハシモトのFAQ、絹糸の原料と工程は同社の商品紹介を参照しました。ジャンル別の例は菊岡中むらの富士糸案内で確認できます。

素材の組み合わせと販売単位は三萃園の付属品案内と和楽器市場の丸三寿の案内、津軽の流派別の例は獅子道の糸の解説を参照しました。調子と基音の区別は松永鉄九郎さんの調弦法で確認できます。商品情報の確認日は2026年10月3日です。